
心不全
心不全
心不全は、全身のポンプである心臓が血液を体中に十分に送り出すことができない状態です。これは心臓のポンプ機能が低下することにより生じ、体のさまざまな部分に影響を及ぼします。心不全は単一の病気ではなく、様々な心臓病の結果として発生する症状の複合体です。進行性の病態であり、早期発見と適切な治療が重要です。
心不全を発症する原因は複数ありますが、現在の日本では、冠動脈疾患によるものが一番多く、約40%を占めます。次いで多いのは高血圧です。そして、弁膜症や不整脈…など続きます。
心筋細胞への血流が不足し、心筋の動きが悪くなっている場合。冠動脈疾患に関しては、虚血性心疾患のページをご参照ください。
代表疾患:狭心症、心筋梗塞
心臓が高い圧力に対して血液を送り出すため、時間と共に心筋が疲れ、動きが弱くなります。心エコー検査等では一見正常に動いていそうに見えるため、気付かれにくいことがあります。イメージ的には、収縮期血圧160mmHg程度以上が続くと左心系の拡張障害がおき、十分に心臓が広がらないために血流の流入が阻害されて結果的に心臓から送り出す血流量が減少します。特に血圧コントロールが悪いと、数分単位で急激な肺水腫を発症することがあります。
代表疾患:高血圧性心筋症
心臓の弁の異常により、血流が妨げられます。心臓には4つの弁があり、これらは血液が一方向にのみ流れるように調節します。心臓弁膜症では、これらの弁が狭くなったり、閉じなくなったりすることで、血流が妨げられ、心臓に負担がかかります。
代表疾患:僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症
心臓のリズム異常が心臓の効率を低下させます。心機能の低下で不整脈が起きることもあれば、不整脈の存在が心不全を誘発することもあります。正常な心拍数は60~80回/分程度ですが、極端な徐脈や頻脈は脳への血流を減らし、めまいや失神の原因にもなります。
代表疾患:心房細動、心室頻拍、房室ブロック
心筋自体の病気で、心臓のポンプ機能が低下します。上記のように明らかな原因が分からない場合、特発性の心筋症と診断されることもあります。心筋細胞を採取し、顕微鏡で観察することで確定診断します。
代表疾患:拡張型心筋症、肥大型心筋症、心アミロイドーシス、心サルコイドーシス
画像の出典トーアエイヨー「インフォームドコンセントのための心臓・血管病アトラス」
心不全の症状には、以下のようなものがあります。
心不全の診断には、以下の方法が用いられます。
心不全の治療は、症状の軽減、病状の進行の遅延、生活の質の向上、および長期的な予後の改善を目指します。治療方法は、心不全の原因、症状の重さ、および患者の全体的な健康状態に基づいて決定されます。
心不全の原因によっては、冠動脈バイパス手術や心臓弁手術などが必要になることがあります。
心不全の治療は、患者さん一人ひとりの状態に合わせてカスタマイズされるべきです。治療計画は、患者さんの生活習慣、症状、および他の健康状態を考慮に入れて、医師と緊密に協力しながら策定されます。また、心不全は進行性の疾患であるため、定期的なフォローアップと治療計画の調整が必要です。
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